なぜ県名と県庁所在地が違う?明治政府の思惑と16県の真相を徹底解説
小学校の社会科や中学受験の地理で、多くの人が一度は頭を抱える「県名と県庁所在地の不一致問題」。「青森県青森市」や「秋田県秋田市」のように一致していれば覚えやすいものの、「愛媛県松山市」や「神奈川県横浜市」のように名前が異なると、丸暗記に苦労した記憶がある方も多いはずです。
実は、この不一致には単なる偶然ではなく、明治維新の「廃藩置県」から続く国家再編のドラマや都市発展の歴史的必然性が深く刻まれています。2026年現在の最新学説も踏まえながら、全国の対象都道府県一覧、不一致が生まれた決定的な理由、そしてテスト対策に直結するスマートな暗記法まで余すところなく紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:県名と県庁所在地が異なる「県」は全国で16県(北海道・東京を含めると18〜19自治体)。
- 要点2:不一致の背景には、明治政府による「旧幕府側への懲罰説(俗説)」だけでなく、港湾開港や郡名採用といった実務的理由が存在。
- 要点3:歴史的エピソードと語呂合わせをセットで整理することで、中学受験や定期テストの得点源に直結。
【一覧で丸わかり】県名と県庁所在地が違う都道府県は何個?全16県の完全リスト
日本の47都道府県の中で、県名と県庁所在地が異なる「県」は合計16県存在します。なお、広域自治体の単位として「都・道・府・県」全体で見ると、北海道(札幌市)や東京都(新宿区/東京)を含めて18〜19自治体として整理されるケースが一般的です。
まずは、テストや学び直しで絶対に押さえておくべき県名と県庁所在地が違う一覧を地方別に整理しました。
| 地方 | 都道府県名 | 県庁所在地 | 特徴・旧国名など |
|---|---|---|---|
| 東北 | 岩手県 宮城県 | 盛岡市 仙台市 | 盛岡藩/旧陸奥国 仙台藩(伊達氏の城下町) |
| 関東 | 茨城県 栃木県 群馬県 神奈川県 | 水戸市 宇都宮市 前橋市 横浜市 | 水戸徳川家のお膝元 下野国/宇都宮城下 上野国/前橋城下 開港場として急成長した横浜 |
| 中部 | 石川県 山梨県 愛知県 | 金沢市 甲府市 名古屋市 | 加賀百万石の中心・金沢 甲斐国の府中に由来 尾張徳川家/巨大城下町 |
| 近畿 | 三重県 滋賀県 兵庫県 | 津市 大津市 神戸市 | 安濃津(あのつ)と呼ばれた要衝 琵琶湖畔の古都・大津 国際貿易港・神戸港の発展 |
| 中国・四国 | 島根県 香川県 愛媛県 | 松江市 高松市 松山市 | 出雲・松江城下 讃岐・高松城下 伊予・松山城下 |
| 九州・沖縄 | 沖縄県 | 那覇市 | 琉球王国の貿易拠点 |
※東京都に関しては、地方自治法上の「市」ではなく特別区である新宿区に都庁が置かれていますが、地図上や教育現場では「東京」と表記されることも多くあります。
なぜ不一致が生まれたのか?明治政府と「廃藩置県」の歴史的背景
なぜこれほど多くの地域で名前のズレが生じたのか。その起点は、1871(明治4)年に行われた「廃藩置県」にあります。
江戸幕府が倒れ、中央集権国家の樹立を目指した明治政府は、全国に約300あった「藩」を廃止して「県」を設置しました。この統廃合の過程で、県庁を置く場所の選定と県名の決定にいくつかの原則が導入されたのです。
当時、明治政府は混乱を避けるため、主に以下の基準で県名を付けました。
- 県庁を置く「都市名(城下町名)」をそのまま県名にしたケース(例:青森、秋田、福井、福岡など)
- 県庁が置かれた「郡名(地域名)」を採用したケース(例:岩手郡の盛岡、愛知郡の名古屋、三重郡の四日市など)
- 古代の国名や神話・地理的特徴から命名したケース(例:愛媛、香川、滋賀など)
つまり、「城下町としての名前」ではなく、より広域を指す「郡名」や「縁起の良い古代地名」を県名に選んだ地域が、現在の不一致県として残ったのです。
「朝敵ペナルティ説」は本当か?神奈川・兵庫・愛媛・岩手にみる改称の真相
歴史ファンの間で長年語り継がれてきた有名な言説に「朝敵・賊軍ペナルティ説」があります。「戊辰戦争で明治政府軍に味方した薩摩(鹿児島)や長州(山口)、土佐(高知)は城下町名を県名にできたが、旧幕府軍側についた藩は城下町名を奪われ、郡名を付けられた」という説です。
しかし、近年の歴史研究ではこの俗説は否定されつつあります。親藩・譜代大名でありながら都市名が残った地域もあれば、官軍側でも郡名が採用された例があるためです。実際の現場では、もっと現実的かつ行政的な事情が絡み合っていました。
① 神奈川県と兵庫県:国際開港場と行政拠点の分離
神奈川県(横浜市)や兵庫県(神戸市)は、幕末の開国と近代化が深く関わっています。
神奈川県は当初、東海道の宿場町であった「神奈川宿」に県庁の前身が置かれたためその名が付きました。しかし、実際に国際貿易港として急速に発展したのは隣接する「横浜」でした。行政の中心地が実力都市である横浜に移転したものの、県名はそのまま引き継がれたのです。
兵庫県も同様で、古くからの良港「兵庫津」に役所が置かれたことが県名の由来ですが、国際港として整備された「神戸港」周辺が都市の中心へ成長していきました。
② 愛媛県:古事記の神名を採用した美しい県名
愛媛県(松山市)の由来は極めて詩的です。『古事記』の国生み神話において、四国(伊予国)の女神を「愛比売(えひめ=愛らしい姫)」と呼んだことに由来します。明治期に松山県や石鉄県(いしづちけん)などが統合された際、特定の城下町の確執を避けるためにも、地域全体を象徴する雅な神名が採用されました。
③ 岩手県:民話「鬼の手形」と岩手郡
岩手県(盛岡市)は、南部藩の城下町「盛岡」に県庁が置かれましたが、県名は県庁が所在した「岩手郡」から取られました。三ツ石神社の伝説で「鬼が二度と悪さをしない誓約として岩に手形を押した」という「岩手」の地名が、広域を束ねる県名として定着した好例です。
【中学受験・地理対策】都道府県テストを攻略する最強の覚え方&語呂合わせ
小学生の社会科テストや中学受験において、県名と県庁所在地が異なるパターンの暗記は「頻出かつ落とせない基礎問題」です。丸暗記ではなく、リズムとストーリーで覚えるのが最短ルートになります。
1. 強力語呂合わせで一網打尽
特に間違いやすい組み合わせを、印象的なフレーズでインプットしましょう。
- 「岩手の盛りのいいおかゆ」(岩手県 = 盛岡市)
- 「宮城の仙台(千台)の車」(宮城県 = 仙台市)
- 「茨城で水戸黄門に出会う」(茨城県 = 水戸市)
- 「栃木の宇都宮でギョーザを食す」(栃木県 = 宇都宮市)
- 「群馬の前橋を走る馬」(群馬県 = 前橋市)
- 「愛知の名物、名古屋コーチン」(愛知県 = 名古屋市)
- 「三重の真ん中でツ(津)と叫ぶ」(三重県 = 津市)
- 「滋賀の大津で大きな船に乗る」(滋賀県 = 大津市)
- 「愛媛の松山でみかん狩り」(愛媛県 = 松山市)
2. 「松」がつく2つの県庁所在地をセットで攻略
受験生が最も混同しやすいのが「松江市(島根県)」と「松山市(愛媛県)」です。
【見分け方のコツ】
「島の江の島(島根=松江)」「愛の山(愛媛=松山)」と漢字の組み合わせで覚えると、本番の記述ミスを完璧に防ぐことができます。
大人でも話したくなる!知って得する最新の地理雑学まとめ
県名と県庁所在地にまつわるエピソードには、知的好奇心を刺激する雑学がまだまだあります。
- 日本一短い県庁所在地名:三重県の「津(つ)」市。世界的に見ても1文字(Z/Tsu)の市名としてギネス級の短さを誇ります。
- 県庁所在地が移転した歴史:栃木県の県庁は、明治初期には現在の「栃木市」にありました。後に宇都宮市へ移転したものの、県名は「栃木県」のまま残ったという経緯があります。
- ひらがな表記の自治体:埼玉県さいたま市は、2001年の浦和・大宮・与野の3市合併によって誕生した「ひらがな表記の県庁所在地」です。県名と漢字表記が異なるユニークな実例といえます。
【県名と県庁所在地が違う都道府県】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:県名と県庁所在地が違う県は、テストで何個と答えれば正解ですか?
A1:小学校のテストや中学受験では、純粋に「〜県」を対象とするため16個(16県)が基本の正解となります。ただし問題文に「都道府県」とある場合、北海道(札幌市)や東京都(新宿区など)を含むかどうかの注記を確認してください。
Q2:なぜ「県名=県庁所在地」にしなかったのですか?
A2:明治初期の廃藩置県において、複数の藩を1つの県に大規模統合した際、特定の旧城下町名を使うと他地域の反発を招く恐れがあったため、中立的な「郡名」や「古代の国名」をあえて採用した経緯があります。
Q3:県庁所在地が途中で変わることは今後もありますか?
A3:地方自治法上、都道府県の条例改正と議決があれば移転自体は法的に可能です。しかし、莫大な移転費用や行政インフラの再編が必要となるため、大規模な天災等の特別な理由がない限り、現代において県庁所在都市が変更される可能性は極めて低いと考えられます。
まとめ:歴史を知れば地理はもっと面白い
県名と県庁所在地の違いは、単なるテストの暗記項目ではありません。そこには、明治維新の激動、地域の統合を平和に進めようとした先人たちの知恵、そして近代港湾都市のダイナミックな発展が凝縮されています。
暗記に迷ったときは「なぜこの名前になったのか?」という歴史の舞台裏に目を向けてみてください。無機質に見えた日本地図が、一気に立体的なストーリーとして見えてくるはずです。 (出典: 県 名 県庁 所在地 違う(Yahoo!ニュース))